主戦場にされることも多くなったFTXだが、今回もFTX取り扱い銘柄の中で気になるものを解説していこうと思う。
今回はPolygon(ポリゴン)、旧Matic Networkについて見てみよう。
Polygon(ポリゴン)とは
Polygon(ポリゴン)は、イーサリアムの取引処理にかかる送金詰まりや、ガス代(手数料)高騰などの課題を解決するための、レイヤー2を用いたプロジェクトだ。
開発者にとって柔軟で開発しやすく、ユーザーにとって速く使い勝手の良いブロックチェーンサービスを利用できるのが魅力になっている。
Polygonの目指すところは、仮想通貨の普及促進だ。
より多くのDAppsをつなげて相互的に利用できるように、より多くのブロックチェーンを相互的に利用できるように、イーサリアムのエコシステムを広げられるようにと、仮想通貨全体の利用促進・普及を目指しているという。
Polygonと似たような構想のブロックチェーンプロジェクトとしては、Polkadot(ポルカドット・$DOT)やCosmos(コスモス・$ATOM)などが挙げられる。これらもPolygonと同じように他のブロックチェーンプロジェクトとの相互運用性を図っているものだ。
レイヤー2とは
「Polygonとは」と検索するとほぼ出てくるのが「レイヤー2」という言葉だが、レイヤー2とは本線となるブロックチェーンとは別のチェーンのことを指す。
取引を処理したデータを記録していくブロックチェーンだが、活発に取引が行われればそのぶん記録するデータも膨大になり、処理がだんだん追いつかなくなる。
その結果、送金にかかる手数料が上がったり、データが反映される(着金する)までの時間がかかったりするため、仮想通貨における送金が速い・安いというメリットを享受できなくなってしまう。
現状、残念ながらこうなってしまっているのがイーサリアムだ。
Polygonは、現在大きな負荷がかかっているイーサリアムのブロックチェーンとは別に、サブのチェーン(レイヤー2)を用いて送金詰まりやガス代高騰を解決しようというもの。
単線の電車よりも複線の多い電車の方が効率良く乗客を運べるし、利益も上げやすくなる、それがレイヤー2だ。
1秒あたり最大65,000のトランザクション(取引データ)を処理でき、ブロックの生成時間は2秒未満と非常に速いという特徴を持つのがPolygonだ。
すでにイーサリアムのサイドチェーン(レイヤー2のひとつ)に、50を超えるDAppsがあり、広く利用されていることがうかがえる。
$MATICトークンについて
Polygonというプロジェクト名に変更したが、トークン名は変わらずMATICのままだ。
MATICは、プロジェクトのルール変更について投票できるガバナンストークンとして用いられているほか、Polygonのサイドチェーンの手数料として、その他Polygonのサービス内(エコシステム内)で手数料として必要になるケースもあり、需要が高いと言える。
たとえば、国内NFTマーケットプレイスのnanakusaでは、イーサリアム($ETH)だけでなく$MATICによるNFT購入・出品も可能だ。
NFTが爆発的に広まりつつある中、イーサリアムでは限界を感じる部分も多いため、$MATICはプロジェクトとしてもトークンとしても必要性が高いと言えるだろう。
$MATICの価格推移
2019年4月にバイナンスでIEOが行われ、直後は10倍以上の価格になった。
●IEOとは
取引所(Exchange)が審査・販売を担うトークンセールのこと。
0.01ドル前後を推移していたが、2021年に入ってからはビットコインの急騰とともに大躍進し、一時は2.5ドルほどに上昇している。
$MATICを取り扱う取引所
MATICを取り扱うのは、次の取引所だ。
- FTX
- Binance
- Huobi Global
- Kucoin
- Coinbase
- Kraken
- Uniswap
- Gemini
- Poloniex
- Bittrex
などなど、小規模な取引所を合わせるとまだまだ上場している場所は多くなる。
大手取引所は軒並み上場されているが、特に取引が活発なのはバイナンスやコインベースだ。日本でもそのうち上場される日は来るのだろうか。
リブランディングについて
PolygonはもともとMatic Networkという名前のプロジェクトだったが、2021年2月にリブランディングして現在の形になった。
そのため、銘柄のコードをあらわすティッカーシンボルはMatic Network時代のまま「MATIC」だ。
Polygonという名前で探そうとするとなかなか見つからなかったりするので、少し面倒かもしれないが。。。(FTXでもMATICと入れないと表示されないので注意)
PolygonとMatic Networkの違いとは
Matic Networkはもともと、乱立するDApps(分散型アプリケーション)の土台となるブロックチェーンエコシステムの課題を解決するために立ち上げられたプロジェクトだ。
ゲーム等のアプリが次々に開発される一方、その取引を処理する土台部分はまだまだ整備されておらず、取引にかかるガス代(手数料)が高くなったり、思うように処理が進まなかったり(スケーラビリティ問題)していた。
そこでMaticは、スケーラビリティ問題を解決して取引をスムーズに、手数料を安くすることを目標にしていた。
PolygonとMatic Networkの違いは、単にスケーラビリティ問題の解決だけでなく、さらに他のチェーンとの連携を図るなど、広範な課題解決のためのプロジェクトであることだ。
ステーキングについて
$MATICはステーキングが可能だ。
●ステーキングとは
仮想通貨を保有し続けることで報酬を得られる仕組みのこと。取引所で売買をするのではなく、少額ながらコツコツと利益を得られるとして注目されている。ステーキングの条件は各仮想通貨によって異なる。
Maticのウォレットよりメタマスクに接続し、ステーキング先を選んでデリゲート(委任)・金額入力するだけでOK。
ステーキング先はstakefishやPolycatなどがある。
初心者はバイナンスのステーキングサービスを利用するのも良いだろう。バイナンスの場合は最低50MATICからステーキング可能だ。
Polygonの今後について
仮想通貨やブロックチェーン関連のプレスリリースを少し調べると、2021年に入ってから実に多くのリリースで「Polygon」を見かけるようになった。
NFTアートの販売としてPolygonが採用されたり、これまで単一のチェーンのみでしか利用できなかったゲームアプリに、新たにPolygonが対応したりするなど、日本のブロックチェーン関連企業とのかかわりが広がっている。
特に2021年に入ってからNFTは空前のブームだ。
国内でもGMOやビットポイントジャパンなどの仮想通貨関連企業だけでなく、メルカリやエイベックスの子会社などが次々に参入を表明している。
イーサリアムは今後もスケーラビリティ問題解決のためのアップデートを繰り返していく予定だが、開発トラブルや遅延が続いていることからも、情勢に追いつかない可能性が高いだろう。
そこで、Polygonのようなプロジェクトに注目が集まるため、今後もさらに需要が高まるのではないだろうか。
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