今回は、日本発・国産コインといえばコレ!というモナコイン(MONA)について徹底的に解説していく。
概要から技術的な面までかなり深掘りしていくので、今回はまずモナコインの概要や歴史など、モナコインを知らないという方にもぜひ読んで理解していただけるよう、前編をお送りする。
モナコインとは
モナコイン(MONA)とは、ネット掲示板「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」で生まれたアスキーアート「モナー」をモチーフにした仮想通貨だ。
( ´∀`)
こいつだ。
開発者は「わたなべ氏(Mr.Watanabe)」を名乗る人物で、見た目からもわかるようにネットとのつながりが深い仮想通貨と言える。
日本人を中心としたコミュニティにおいて、動画配信サービスや掲示板での投げ銭に使われ、ファン・支持者によるサービス開発でその輪を広げているのが特徴だ。
ビットコインなど他の仮想通貨に比べて最大発行枚数は多く、1億512万枚。
ビットコインやライトコインと同じく承認方法はPoWで、ブロックの生成スピードは90秒だ。
他の主要仮想通貨に比べると流動性が低く、ファンが保有・使用する傾向が強いため、よほど暴騰・暴落がないと投機的な動きで使われることは少ない印象だ。
モナコインの歴史
さて、モナコインの概要がなんとなくわかったところで、これまでにどのような経緯を経てきたのかを見てみよう。
2014年に誕生したモナコインには、これまでさまざまな出来事があったのでまとめていく。
2013年12月23日 | ベータ版公開 |
2014年1月1日 | 公式版リリース |
2014年2月8日 | 投げ銭機能tipmonaオープン |
2014年3月29日 | 投稿するとMONAがもらえる掲示板Ask Monaオープン |
2014年4月30日 | MONAで買い物ができるサイトMonappyオープン |
2015年3月4日 | Zaif(旧etwings)で取り扱い開始 |
2017年4月27日 | Segwit実装 |
2017年7月16日 | 1回目の半減期 |
2017年7月21日 | bitbankで取り扱い開始 |
2017年10月2日 | bitFlyerで取り扱い開始 |
2018年5月17日 | block withholding attack、selfish mining攻撃を受ける |
2018年9月1日 | Monappyでハッキング被害 |
2018年9月18日 | ZaifにてBCH、BTCとともにハッキング被害 |
2019年6月5日 | CoinCheckで取り扱い開始 |
2020年9月9日 | 2回目の半減期 |
2014年1月1日モナコイン誕生
2013年12月23日にベータ版が登場したが、すぐにリセットされた。
その後、12月30日に改めてモナコインをリリースするというアナウンスがあり、2日後の1月1日0時ちょうどに正式にリリースされたのが始まりだ。
サードパーティー製品が続々登場
モナコイン関係のサードパーティー製品は多く、いかにコミュニティが活発かがわかると思う。
特に、Twitterではモナコインを使って投げ銭ができるtipmonaや、モナコインで買い物ができるMonappyなどは頻繁に見かけた。
tipmonaはTwitter上で特定のコマンドを入力してツイートすると、入出金のためのアドレスが自動的に返ってきたり、投げ銭したい相手のアカウント名を入力することで気軽に投げ銭ができた。
ほかにも、動画配信サービス・ツイキャスでもビットコインとともにモナコインを投げ銭(チップ)できるようになったし、秋葉原のパソコンショップではいち早く決済に対応したことも話題になった。
攻撃の対象に
2018年5月17日、モナコインを取り扱う取引所が続々と「reorg」とツイートをした。
reorg(リオルグ)とは、ブロックチェーンの再編成という意味。
モナコインのブロックチェーンが、悪質なマイナーによって「block withholding attack」と「selfish mining」という攻撃を受けたために起こった。
- 悪意あるマイナーがマイニングをするが、ブロックを公開せずそのままマイニングし続ける。他からは見えていないが、実際にはモナコインのブロックチェーンが分岐している状態。
- 非公開チェーンが長くなった状態でモナコインを取引所に入れ、他の仮想通貨と交換、出金する。
- 非公開チェーンを公開。2の段階で取引をしたモナコインのデータを含む短いチェーンが消失する。
- 取引所はモナコインがないという状態になり、被害に。
ブロックチェーンは分岐が起こるものの、長いものが残り、短いものは消えるというルールがある。
これを利用したのが、自身でマイニングをしてブロックチェーンを伸ばす「selfish mining」と、意図的にブロックを隠し続け、チェーンが長くなったら公開する「block withholding attack」だ。
この攻撃のために、海外取引所のLivecoinでは日本円にして約1,000万円ほどの被害を受けたという。
モナコインはビットコインと同じくPoW(Proof of Work)という方法で取引が承認されているが、この方法はその名の通り力(ハッシュパワー)を持つものが取引の承認をする権限を持つ。
だからこそ、大きな力を持つものが悪意を持って攻撃を仕掛けると、このようにブロックチェーンをどうこうできるようになるのだ。
PoWは以前からこうしたリスクがあるということはわかっていたが、現実的には攻撃できないだろうというのが一般的な考え方だった。
しかし、モナコインでこうした被害が起きてしまった。
ハッシュパワーは一部のものが持つのではなく、できるだけ分散させておくとこうした攻撃が難しくなる。
「分散」がいかに重要なのかが、理解できた一件だった。
ハッキング被害
モナコインは、先ほど紹介したMonappyというサービスと、取引所・Zaifにてハッキングを受けた経験がある。
Monappyでのハッキング
ホットウォレットに保管していたモナコインが、悪意あるユーザーによって盗難された。
なお、当初は先ほど登場したblock withholding attackによる攻撃と言われていたが、調査の結果違うことが判明している。
Monappyのハッキングでは、サービスにログインせずにギフトコードを受け取れる機能を利用したものだった。
ギフトコードを受け取る際、そのコードに集中的にリクエストをすることで、1つのコードに対して複数の送金が行われてしまったのだ。
個人開発・運営によるサービスで取引所のハッキングに比べると規模は小さいものの、大きな話題となった。
Zaifでのハッキング
2018年9月18日、Zaifから入出金を停止するという旨のツイートがあり、ふたを開けてみればハッキングだったという話だ。
ビットコインとビットコインキャッシュとともに流出したモナコインは、日本円でおよそ6億7千万円分。
ユーザーへの補償は行われたものの、流出したモナコインはかなり細かなアドレスに分けて送金されていたという。
半減期
マイニングをして発行通貨数を増やしていくタイプの仮想通貨は、定期的な「半減期」がある。
半減期は何年に1回と表現されるがこれは間違いで、特定のブロックに達するごとに半減期がやってくる仕組みになっている。
それぞれの仮想通貨はブロックができるペースがほとんど決まっているので、そのペースから計算すると4年に1回とか、モナコインのように約3年半に1回と言われるようになった。
ちなみにモナコインは105万1200ブロックごとに半減期がやってくるため、2014年1月にスタートしてから、2017年7月に1回目の半減期、2020年9月に2回目の半減期がやってきた。
次の半減期は2023年9月と予想されているが、かなりズレこむので近づいたら注視したい。
モナコインに触れた著名人
ホリエモンこと堀江貴文氏は以前モナコインを保有していることを公表しているし、ビットコイン決済の導入社数のニュースにあわせて「モナコイン普及してほしい」とTwitterに投稿もしている。
また、メディアアーティストの落合陽一氏もTwitterで「だれかモナコインCM打とうぜ」と発言したり、コミュニティに参加してモナクッキーを持つ写真を投稿したりするなど、モナコインに積極的に触れている。
落合氏は、クリプト某メディアの取材記事にも、モナコインがコミュニティに支えられていると言及していた。
もちろん、2ちゃんねる創設者のひろゆき氏も、モナコインについて触れたことがある。
モナコインはコミュニティ・技術的にも◎
モナコインはビットコインなどと同じように、取引(やり取り)をする人物がいて、その取引を承認するマイナーがいて、新たなモナコインが発行されて…という繰り返しで成長を遂げてきた仮想通貨だ。
2014年からこれまで、攻撃を受けながらもいまだに知名度を上げ、存続してきたのは外ならぬモナコインコミュニティの力があったからだろう。
仮想通貨に限らず、どんな商品もどんなサービスでも、ファンやその集まりであるコミュニティがないと長期的な成長は見込めないし、一時的な人気で廃れてしまう。
しかし、モナコインは2ちゃん生まれのモナーが愛されていること、投げ銭など投機的な動きよりも「使う(実需)」に特化していることなど、細く長く続く理由がそこにはある。
さらに、いち早くSegwit(セグウィット)やアトミックスワップに対応するなど、技術的にも注目すべき銘柄と言える。
次回は、先ほど紹介したSegwitやアトミックスワップなど、モナコインの技術面も含めてさらに深掘りしていこうと思うので、乞うご期待。
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