Twitterでも何かと話題の新興取引所・FTXについて、これまで取引所の独自トークンやステーキングについて紹介してきたが、今回はさらに深掘りしてみようと思う。
FTXはもはやバイナンスなどの大手取引所と並ぶほどの人気と言っても過言ではない取引所だが(というかバイナンスとは提携している)、実はこれとは別にDEXを立ち上げているのをご存じだろうか。
FTXはこのブログでもたびたび紹介しているデリバティブ取引所のFTXとは別に、分散型取引所を2020年8月に立ち上げた。
それが「Serum(セラム)」というDEXだ。
今回は、Serumがどのような取引所なのか、そしてSerumで使われている独自トークンについても詳しく解説していこうと思う。
DEX(分散型取引所)とは
まず、DEXとは「分散型取引所」のことで、バイナンスやFTX、ビットフライヤーやコインチェックなどの取引所とは違う特徴を持っている。
たとえば、ビットフライヤーやコインチェックは政府の認可を受けた取引所であるし、ハッキングがあった時には責任を取って補償を行ってきた。
でも、DEXは責任を取るべき管理者がいない。取引のために利用する世界中の自分たちユーザーの手によって公正公平な取引ができる場所というわけだ。取引所の介入がないためトレーダー同士で注文を出し合い、取引を行う仕組みになっている。
つまり、ビットフライヤーなどの特定の管理者がいる取引所は非分散型取引所、管理者がいない取引所を分散型取引所(DEX)と言う。
Serumとは
改めて紹介するが、SerumとはFTXが新たに立ち上げた分散型取引所(DEX)だ。
Solanaブロックチェーンを土台にして構築されているのが特徴で、独自トークンとして$SRMが発行されている。
バイナンスでは$BNB、FTXでは$FTTという独自トークンがそれぞれ存在するように、SerumでもSRMというトークンを発行してユーティリティトークンとして使われている。
FTXなど通常の取引所と変わらないサービス提供を目指すとしているため、DEXをあまり触る機会がなかったユーザーにもおすすめだ。
- オーダーブックがある
- スマートコントラクトで取引認証をする
- 取引スピードが速い
- コストが低い
- 独自トークンの$SRMと$MSRMがある
- イーサリアムとの相互運用性がある
- クロスチェーン取引が可能
などの特徴がある。
Solanaについて
Solana(ソラナ)とは、超高速でトランザクション処理ができるブロックチェーンで、毎秒5万件の処理が可能なプロジェクト。
イーサリアムでおなじみのスマートコントラクトも実行できるため、管理者のいないDEXの土台として用いるのに最適というわけだ。
Serumではスマートコントラクトで取引の認証が行われるので、スムーズな取引が可能になる。イーサリアムはトランザクション増加によってガス代(手数料)が高くなっており、細かくトレードをするユーザーには不向き。
一方のSolanaは手数料が安いうえに取引スピードも非常に速く、なおかつイーサリアムとの互換性もあり、多くのメリットを持っている。
Solanaブロックチェーンで発行されるネイティブトークン「$SOL」を手数料として使う。SOLはバイナンスやFTXで売買可能だ。
トレーダーがDEXに求めること
トレーダーの多くは、FTXやバイナンスなど通常の取引所を使っているのではないだろうか?
だが、通常の取引所ではハッキングや流出など、いわゆるGOXしてしまうリスクがある。
取引所に資産を入れっぱなしにしない、一か所に多くの資産を入れない、二段階認証は必ず行うなどの対策をとることはできるが、それでもとても安全とは言えない。
それでも多くのトレーダーが中央集権型の取引所を利用する理由として、DEXを使う際のデメリットが挙げられる。
- 取引成立が遅い
- 流動性が低い
- 取引ペアが少ない
すべてトレーダー各自が注文を出し、各自が資産を管理するため、なかなか取引が成立しなかったり、思うような取引ペアがなかったりする。人もまだまだ少ないし、使おうにも使えるDEXがそこまでないというのが現状だろう。
これらの課題を解決すべく立ち上げられたのが、Serumだ。
Serumは、中央集権型の取引所は手数料が高いことなどの課題を挙げ、これらの課題を解決して中央集権型の取引所のような質の高いサービス提供を目指すとしている。
Serumの使い方
Serumを使うには、まずSolanaのウォレットを作る必要がある。それ以降は以下のような順番で手続きをし、実際にSerumで取引ができるようになる。
1.Solanaのウォレットを作る
- シードフレーズ(マスターキー)を書き留める
- パスワードを設定する
2.手数料で必要になる$SOLをFTXで購入して入金する
SOLを送るためのアドレスが表示される。
3.トレードに使うBTCやETHなどのトークンを入金する
4.サーバーを選んでウォレットとDEXを接続する
Serumは中央集権型の取引所ではないため、利用するためにはSerumのサービスを提供するサーバーを経由する必要がある。ウォレットを作成した時に鍵(プライベートキー)が作られ、ユーザーが各自持つ形になっているため、取引所(DEX)でのハッキングやGOXの心配はほぼない。
また、トレードをした後はDEXの残高からウォレットへ残高を移しておくのを忘れずに。「Settle trade」で残高を移すと、その後出金できるようになる。
DEXゆえに通常の取引所と多少使い勝手が違うため、気を付けておこう。
Serumの主な取引ペア
DEXだと中央集権型の取引所に比べて取引ペアが少ないというデメリットがあったが、Serumはさまざまな取引ペアがあるのが特徴だ。
- BTC/USDC
- BTC/USDT
- SOL/USDC
- FTT/USDC
- SUSHI/USDT
- UNI/USDT
- 1INCH/USDC
など、60を超える取引ペアがある。
Serumの新たなAMM「Serum Swap」
Serum Swapは、2020年10月にSerumに追加されたSerumのAMM(自動マーケットメーカー)だ。
ユーザーはSerum Swapにてトークンをスワップ(交換)できるほか、流動性を提供して利益を得られるという。
Serum公式サイトによると、Serum Swapはテストは行われているが監査は行われていないため、「自己責任で」と記載している。流動性提供で報酬が得られるなどのメリットはあるが、FTXやSerumもあるし現状ではSerum Swapを無理に使う必要はないだろう。
$SRMと$MSRMについて
Serumには、2種類の独自トークンがある。
SRM
SRMはSerumを含むSerumエコシステムのユーティリティトークンとして使われる。
Serumでトレードする際の取引手数料として使えるのも、そのひとつだ。
また、SRMはFTXで売買できるトークンであることや、FTXで独自トークンFTTを保有しているユーザーには、エアドロップにてSRMを受け取れるチャンスもある。
Hold FTT on FTX to receive SRM airdrops!https://t.co/EF54aCCStC
— FTX – Built By Traders, For Traders (@FTX_Official) July 31, 2020
SRMはしばらく100円台をうろうろしていたが、今年に入ってビットコインの最高値更新があったタイミングで高騰した。
一時は800円近くまで価格上昇したが、現在は500円前後を推移している。
さらにSRMは、大半が市場に出回らずロックされている。
現在流通しているSRMは全体量のうち約10%ほどで、残りの90%は2021年8月1日から徐々にロック解除されていくという。ビットコインのマイニングと同じように、市場に出回るトークンの数に制限をかけることで、1枚あたりの価値を高めようという仕組みだ。
ちなみに、全体量は100億SRM。
MSRM
もうひとつの独自トークンであるMSRMは、FTXでSRMのステーキングを行うと手に入る。
MegaSerum(メガセラム)という名前の通り、SRMよりも希少価値の高いトークンとして提供されているのが特徴だ。
1MSRMを手に入れるために必要なステーキング量は、100万SRM。MSRMを持っているだけでステーキングの利率がアップする、手数料が安くなるなどのメリットがあるという。
大半のSRMがロックされていることもあり、MSRMを手に入れるために100万SRMを集めるのはかなり骨が折れるだろう…
SRMを売買できる取引所
Serumはもちろん、Serumの親元となるFTX、そしてFTXと提携をしているバイナンス、その他OKExや韓国のUpbit、Uniswapなどでも売買ができる。
おすすめはやはりFTXだ。
Serumを利用する際には手数料となるSolana(SOL)も必要になるが、SOLも同じくFTXで購入できるので、FTXで下準備しておきたい。
Serumの今後について
Serumの今後についてはロードマップがある。
- さらなるクロスチェーンブリッジを実現すること
- レンディング(貸し出し)
- 証拠金取引
などの計画があるようだ。
多くのトレーダーがDEXではなく中央集権型の取引所を使っていることから、Serumはユーザーを増やすために今後もさまざまな取り組みを行っていくだろう。
Serumは、約1秒のスピード決済が可能で取引手数料もほぼほぼかからず、通常の取引所と同じような使い勝手の分散型取引所(DEX)だ。
独自トークンSRMとMSRMはそれぞれ持っておくと手数料が安くなったり、ステーキング時の利率が高まったりとメリットも多い。
FTX、Serumユーザーはコツコツ集めておくと良いだろう。
また、デリバティブ取引所のFTXと、分散型取引所のSerumではそれぞれ違う特徴があるので、うまく使い分けていきたい。
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